地中熱の定義
「地中熱」は、おおよそ地下200m以浅の低温熱エネルギーで、地中熱利用システムでは主に深度10~100m程度を採熱対象にしています。
地中熱利用ヒートポンプは地中(地下水)を熱源として空調を行うため、空気熱源方式と比べて高効率の運転が可能であり、消費電力を30%程度削減することができます。
日本地熱学会ではこの地中熱を「第4の地熱」と位置づけ、地中熱利用ヒートポンプの導入促進の提言を行なっています。
区分 | 対象温度 | 名称・目的 | |
1 | 超高温地熱 | 400℃以上 | 将来型資源(研究) |
マグマ・高温岩体、熱交換、発電主、局地的・地域的、主として基礎的研究 | |||
2 | 高温地熱 | 200~350℃ | |
天然の高温高圧蒸気、発電、局地的、再生可能性保証、新資源の発見 | |||
3 | 低・中温地熱 | 数10~百数10℃ | |
中低温熱水、直接利用、バイナリー発電、局地的・地域的、経済性(総合的技術開発) | |||
4 | 地中熱 | 10~20℃ | 第4の地熱 |
浅い地層・地下水の熱、室内冷暖房、温水供給、ヒートポンプ、普遍的、経済性(総合的技術開発)、普及活動、ヒートアイランド、地球環境問題 |
採熱対象地盤の調査
地中の採熱効率は、地盤の熱特性(熱の伝えやすさ)に左右されます。この熱特性を把握するため、(1)地下水位、(2)地下水流向・流速、(3)帯水層厚さ、(4)平均熱伝導率、(5)平均熱容量、(6)地下水による流れ効果(地盤熱源ポテンシャル)等の調査を行います。
調査は、熱応答試験(サーマルレスポンステスト)、調査ボーリング、地下水流向流水計(GDF3A/4)、高密度電気探査等により地盤特性を把握します。
◆高密度電気探査


◆地下水流向・流速測定

エネルギー削減実績

地中熱の利用で、環境負荷の低減を実現しました。2008年度の年間エネルギー使用量は、同規模施設の標準値に比べ、省エネ率40.2%を達成し、「自然エネルギーを積極的に活用することで環境負荷の低減を実現している」と評価されました。

介護老人保健・リハビリ施設(福島市) RC造 地上4階 延べ床面積7,152㎡
地質調査・設計
地中熱利用とは地下において、地温(地下水温)が一年を通じ一定であることを利用して、冬季は採熱・夏季は放熱の対象として利用することにより、エネルギーの効率的な利用を目指すものです。そのためには地下の地質構造や地下水の状況を地質調査ボーリング・孔内物理検層・電気探査等により把握して、効率的な採熱管の配置・構造を設計します。
採熱管挿入工事

採熱管の地中への挿入のため、ボーリングによる挿入孔を設置します。採熱管は地上部のヒートポンプに接続され、地中において地盤(地下水)との間で熱交換を行います。